安全性分析の指標U(投資家のための財務分析その5)

 安全性分析の指標として,固定比率,固定長期適合率について説明します。

 

 

固定比率

 固定比率 = 固定資産 ÷ 自己資本 ×100(%)

 

固定比率の分子は,「固定比率」という名前から,固定資産が入ることは推測できます。一方で,分母は流動比率の分母が流動負債であるので,固定比率の場合は,固定負債かな?と考えてしまうかもしれませんが,そうではなく,自己資本(純資産)が固定比率の分母になります。

 

ということで,固定比率とは,固定資産の自己資本に対する割合のことをいいます。

 

分子の固定資産は,土地や工場のようにすぐには現金にできない資産です。これに対し,分母の自己資本は,株主に出してもらったお金とそこから得られた利益からなります。この自己資本は,性格的には,返す必要のないお金だといえます。

 (固定資産のような)すぐには現金にできない資産は,(自己資本のように)返す必要のないお金で購入した方が安全だと言えます。そして,返す必要のないお金というのは,多ければ多いほど安心ですから,固定比率は,値が小さいほど安全ということになります。そのため,固定比率は,低いほうが望ましいとされます。

 

 たとえば,ある企業の固定資産が12,000で,自己資本が15,000のケースでは,固定比率は,12,000÷15,000×100(%)で80.0(%)と計算されます。

 

固定長期適合率

 固定長期適合率 = 固定資産 ÷ (自己資産 + 固定負債) ×100(%)

 

固定長期適合率は,固定資産を自己資本と固定負債の合計で割ったものです。

 

固定比率とは,分母だけが違います。

 

固定比率では,すぐに現金にできない資産を返す必要ないお金で購入できているかを見ました。これに対し,固定長期適合率では,返す必要のないお金のほかに(長期借入金などの)すぐには返さなくてもいい借金である固定負債も合わせて固定資産をまかなえているかを考えます。

 

固定長期適合率は,100%以下である必要があるとされます。

 

たとえば,固定比率の例と同じく,ある企業の固定資産が12,000,自己資本が15,000のケースで,固定負債が10,000だったとすると,固定長期適合率は,12,000÷(15,000+10,000)×100(%)で48.0(%)と計算されます。

 

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